編集部のつぶやき(千葉・船橋・市川・習志野・鎌ケ谷)
空き店舗を活用したコミュニティカフェで、夢にチャレンジする人が増えています!
左から、岡直樹さん、宮崎重美さん、神谷俊一さん、佐藤紘孝さん
コロナ禍のなか、千葉市内の空き家・空き店舗を活用したサテライトオフィスや起業等がいま注目を集めています。
空き店舗を借りて夢を叶えた人にお話を聞いてみようと、西千葉アトリエカフェ ぴりーぶ店主の宮崎重美さんにお話をうかがいました。先日開催された一般社団法人地域力研究所主催の対談イベント「空き家・空き店舗の再生に向けて千葉市で活躍の3名に話を聞く」に登壇した佐藤紘孝(さとうひろたか)さんも、西千葉アトリエカフェ ぴりーぶの空き店舗探し等をお手伝いされたんだとか。起業のキッカケや空き店舗との出会い、コロナ禍でも工夫しながら乗り切っている姿を取材しました。
岡直樹さん 地域力研究所代表。国土交通省の平成30年度空き家対策モデル事業を契機に、空き家を私設図書館に再生する事業を開始。大宮台ひだまりと本の家やBOOK PARKちばぎんざ(旧ちばぎんざ図書館)を運営。
神谷俊一さん 旧自治省入省、在ヨルダン日本国大使館、佐賀県庁、佐賀市副市長、千葉市副市長などを歴任。2021年の千葉市長選に立候補表明中。空き家・空き店舗の活用に、積極的に取り組んできた。公式HP
佐藤紘孝さん 建築家。空き店舗を利用した「おやこカフェ幕張えほん図書館」の仕掛け人。空き店舗の軒先を借りた「軒先珈琲(R)」を展開。NPO法人情報ステーション理事。
宮崎重美さん 西千葉アトリエカフェ ぴりーぶ店主。2020年1月にお店をオープン。発達障害のある息子RYOTAさんが創作活動を行うアトリエ兼、カフェ、レンタルキッチンスペースを運営。
店内にある
Ryotaさんのアトリエ
宮崎重美さん(以下、宮崎さん) 以前から、発達障害の子どもをもつ親のコミュニティカフェをつくりたいと考えていました。そんな時、千葉市の「ひとづくり応援カタログ」事業でコミュニティカフェ開設講座を見つけて応募し、そこで佐藤さんと出会ったんです。そこから夢が現実にむけて動き出すことに。佐藤さんが運営する、おやこカフェ幕張えほん図書館にも行って、具体的なイメージがよりふくらみました。
佐藤紘孝さん(以下、佐藤さん) 富士見町で相続した空き店舗を利用して立ち上げたシェアキッチン「まる空間」を宮崎さんに紹介して、そこで2年間、月1回くらいのペースでコミュニティカフェをされたんですよね。
宮崎さん 障害のあるお子さんのお母さんたちが集まって情報交換できる場として、まる空間で月1回軽食を出したり、ワークショップを開催したりしました。2年間やったからこそ、手ごたえをつかんだといいますか学べたことが多かったですね。それで自分のお店を出してみようと、一歩踏み出すことができました。
神谷俊一さん(以下、神谷さん) 実は「ひとづくり応援カタログ」は、私が千葉市に勤めていた時に立ち上げた事業なんです。こうしてお役に立てた事例を知ることができてうれしいです。
佐藤さんにも空き家探しを手伝ってもらったそう
宮崎さん 初めは千葉市の空き家リユースネットに登録されている空き家情報から探しました。借りたい人は沢山いるのですが登録されている物件が少なく、条件にあてはまる場所を見つけられませんでした。その後は不動産屋さんをまわったり、自分の足で歩きまわったりして今の場所を見つけました。
岡直樹さん(以下、岡さん) ここはもともと何のお店だったんですか?
宮崎さん もとは新聞の集配所です。そのためキッチン設備も最初はありませんでした。大家さんは、事務所として貸し出したかったみたいです。飲食可の物件情報としては、不動産ネットワークに登録されてなかったので不動産屋さんでは探せませんでした。
佐藤さん 飲食不可の物件は多いですよね。特に重飲食(ラーメン、焼肉など油が沢山でるもの)は家主さんが嫌がるケースが多々あります。
宮崎さん うちの場合は軽食のみだったので、交渉して借りることができました。家主さんが、床やトイレ、シャッターなどを整備してくれたのでとても有難かったです。佐藤さんに相談して、外からアトリエが見えるように内装に手をくわえました。
神谷さん 色々なアイデアがあっても、借りたい人と空き家を貸したい家主さんのマッチングが課題ですね。家主さんにも、改修を前提としたマインドを持っていただかないと今後進まないと思います。その点で、西千葉アトリエカフェぴりーぶの大家さんは事務所として使ってくれる人を募集していたところに、カフェ利用でも承諾してくださって非常に柔軟な方だと思います。こういった活用の後押しをしていきたいですね。
シェアキッチン付きのレンタルルーム
食品営業許可・菓子製造許可取得済み
宮崎さん 息子のRYOTAは、平日は別の仕事をしていてアート活動は土日のみです。そのためカフェ営業は金土日限定にしたかったので、それ以外はまる空間さんのようにシェアキッチン、レンタルスペースとして、チャレンジしたい人に貸し出すことにしました。コロナ禍前は1日だけのカフェやイベントなどでよく利用されていましたが、緊急事態宣言等でなかなか人が集うこと自体が難しくなり経営も正直大変でした。最近では、シェアキッチンのみの利用をされる方が増えています。
神谷さん シェアキッチンだけを利用される人は、どういった目的で使用されてるのですか?
宮崎さん お菓子を作って販売するには、製造許可を取得している場所で作らないといけないルールがあります。西千葉アトリエカフェぴりーぶは菓子製造許可を取得しているので、つくったお菓子を販売するために借りる方が多いです。
パウンドケーキを販売されている女性は、毎週きまった曜日に借りて、黙々と販売用のお菓子を作って、梱包、発送までを1日でされています。
神谷さん 食品製造者責任者の免許だけでなく、設備の許可も必要なんですよね。
岡さん その方も本業は別にあって、お休みの日にシェアキッチンを活用してるんですよね? 小さなチャレンジをする場として、西千葉アトリエカフェぴりーぶさんがあるんですね。
ぴりーぶで販売している
知的障がいの事業所オリーブハウスのクッキー
宮崎さん 屋号はそれぞれで、製造場所はここでという感じですね。
キッズスペースもあるので、少人数で小さい子がいるのでここで集まってご飯を食べたいという方もいらっしゃいます。ベトナム料理など1dayカフェをされている方も。
岡さん ここを拠点にスモールビジネスとしての可能性が広がっていて面白いですね。
公民館の調理室も、あれだけ設備があって地域の人も活躍しているので、それをビジネスに何か活用したいですよね。営利目的になってしまうので現実は難しいですが、小さな経済をまわして地域を豊かにしていけられたらと。
神谷さん 「営利目的」ということだけで、いろんな可能性をつぶしてしまうのはよくないですよね。
地域住民の方に外出してもらうキッカケが作れれば、家にこもりがちにならない効果もあります。公民館はもともと人が集まりやすい場所に建てられているのでちょうど良いです。
千葉市公民館は市職員だと異動があって長く地域に関わることが難しいので、教育振興財団に管理をお願いしています。コロナでいま公民館は閉館していますが、本当はオンラインでも何かできればと思います。地域のために、何か工夫してできることを考えていきたいです。
Ryotaさんの作品をポストカードに
1枚100円で販売
宮崎さん Ryotaの仕事がコロナ禍で休業になった期間、ずっとアート活動にとりくんで作品が沢山できました。
ぜひ皆さんに見てもらえたらと、お店の前でアクリル画展をしました。
地域新聞やまいぷれに取り上げられて、多くの人に目にしていただけて嬉しかったです。そこで、知的障がいや発達障害、引きこもりの支援団体や保護者とつながりました。それから、彼女たちがつくっている作品を西千葉アトリエカフェぴりーぶのレンタルボックスで販売したり、活動のリーフレット等を置いてもらったりしています。
訪れたお客様が作品を見てくださるのが活動の励みになり、交流の場にもなっているんですよ。
Ryotaさんのスケッチブック
緻密で繊細なタッチとユーモラスな世界観
佐藤さん レンタルボックスの棚は、千葉市のリノベーションスクールで知り合った千葉大の学生さんと一緒に作りました。作ったものをパブリックな場に置く経験ってなかなかできないので、「一緒にやってみないか」と誘って。ワークショップ形式にして、作るところから地域住民の方を巻き込みました。今では、千葉大生が運営する放課後教室(小学生対象)が開催されています。西千葉はもともと学生の活動が活発なところですが、学生だけでなく地域の大人も巻き込んでやれるのがいいですよね。
千葉大生がデザインした棚は
ハンドメイド作家のレンタルボックスに
宮崎さん オープンしてちょうど1年になります。経営はコロナ禍の影響でなかなか厳しいという状況です。昨年は2~3ヵ月レンタル収入がなく、本当に大変な時もありました。Ryotaからもアトリエ家賃代を払ってもらい、何とかまわっています。カフェも密を避けるために人数制限しないといけないので、もう少しコロナの状況が落ち着いてくればと願っています。人通りが多い場所ではないので、イベントなど立ち寄る目的を今後も作っていきたいですね。
岡さん まる空間のシェアキッチンを利用していた方で、宮崎さんのように独立された方はいらっしゃいますか?
宮崎さん まる空間の場合は、「平日はランチを出すお店」がシェアキッチンの利用条件だったので、実際に飲食店をオープンした人は多いです。
佐藤さん チャレンジできる人を増やすために、まとめて何日間か借りることはできない仕組みになっていました。オーナーさんは、まる空間でチャレンジした人が地域の空き店舗で新しいお店を増やして、それが広がっていくというのが理想と話しておられました。
宮崎さん やってみて初めてわかることが沢山あるので、まずはお試しでシェアキッチンを使ってみて欲しいですね。最初の一歩を思い切って踏み出してみることが、ものすごく大きいと感じます。
佐藤さん コミュニティセンター、海浜病院、リハビリテーションセンターもこれから空き施設になりますよね。壊すのではなく、期間限定で何か貸し出しなどできたらいいですよね。
神谷さん そうですね。なかなか難しいですが、そういったことも今後考えていかなければいけないですよね。
最近よく耳にするのは、新型コロナを過度に恐れて家にこもりがちになってしまい、健康を害している人が多いというケースです。副市長時代に、「千葉市健康づくり教室」のシニアリーダーや「いきいき体操」の講師を育ててきましたが、コロナ禍でラジオ体操や健康ゴルフに気軽に参加することができなくなりました。
特に男性は家でこもりがちになるので、男性の健康も心配です。
こういった空き施設やレンタルスペースを活用して、健康促進などの講座が開催できればいいなと思っています。
市民参加を促進させるために「千葉市習い事応援キャンペーン」を来年度も継続したいですね。
私も習い事応援キャンペーンの前身である「千葉市ひとづくり講座」に思い切って参加して、料理が趣味になりました。早くコロナを収束させて正しい情報を知っていただき、過度に怖がりすぎず、社会活動と経済活動を適切に回復させていきたいです。
佐藤さん なぜ健康でないとだめなのか。医療費増加、税収低下につながって、結果的に町の活力が失われてしまうということを若い世代の方にも知ってほしいですね。
神谷さん 市の将来をかけてやるべきことだと思います。千葉市の政策でぜひ後押ししていきたいです。
ありがとうございました
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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